先日、家に来てくれた職人さんとの雑談で
「うちでは刺さない鍼を使っているんですよ」
とお話ししました。
ご自宅で奥さまにその話をすると、
「刺さない鍼があって、しかもちゃんと効果があるなんて、驚愕だわ!」
と 目を丸くしていたそうです。
その様子を聞いて私はあらためて気づかされました。
鍼灸の世界では当たり前のように使われている道具でも、
世間一般の方には、その存在自体知られていないのだ、と。
今日はそんな、知る人ぞ知る「鍉鍼(ていしん)」について、
少しお話しさせてください。

鍉鍼は、先端が丸くなっていて、皮膚に刺さらない鍼です。
一般的にイメージされる細く尖った鍼とはちがい、
棒状の先で皮膚にそっと触れたり、軽く撫でたりするように使う道具です。
「最近できた鍼の手法ですか?」とお尋ねいただくこともあるのですが、
実はまったく逆。
とっても歴史が古いのです。
2000年以上前、古代中国で書かれた医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』のなかに、
すでに登場していると鍼灸学校の教科書にも載っています。
「でも、刺さないで本当に効くんですか?」
と疑問に思われる方もいると思います。
私たちの皮膚には、想像以上に細かく神経が張りめぐらされています。
皮膚は身体のなかでもっとも大きな感覚器とも言われていて、
優しく触れるだけでも身体はちゃんとそれを感じ取ります。
そして近年の科学的な研究で、
軽い触圧の刺激が自律神経のはたらきや血流に影響を与えることが、
少しずつ明らかになってきています。
古典の知恵と現代の科学が手をつなぎはじめている、
と言えるかもしれません。
来院される方からは、必要なツボに鍉鍼を当てていると、
「ツボを刺激されてるのを感じます!」
「こっちに鍉鍼が当たっているのに、あっちにも刺激が伝わります。不思議ですね。」
と言われますよ。
◎こんな方におすすめです
・鍼にずっと興味はあったけれど、
刺されるのが怖くてなかなか踏み出せなかった方。
・仕事や家事で身体は限界なので、
強い刺激を受けるとかえって疲れてしまう方。
・刺すイメージからご家族や周囲の理解が得られず迷っていた方。
そして、小さなお子さまから人生を重ねられたご高齢の方まで、
鍉鍼はとても幅広い方に寄り添える施術です。
効くかどうかは、刺激の強さで決まるわけではないし、
症状が同じなら、いつも同じ場所で同じ強さでよい、というわけではありません。
これは、長年施術を続けてきていつも実感することです。
当院では、キネシオロジー(筋肉反射テスト)を組み合わせて、
お一人おひとりのその日の身体の状態に合わせて施術を提供しています。
最後に、
冒頭の奥さまではありませんが、
「刺さない鍼があるなんて知らなかった」とおっしゃる方は、
本当にたくさんいらっしゃいます。
「鍼は効くって聞くけど刺されるのが怖い」とためらっている方こそ、
一度えんどう治療院の刺さない鍼をお試しいただけたら嬉しいです。
